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北海道北広島市島松で寒地稲作に初めて成功し「北海道米作りの祖」と言われる中山久蔵翁を題材とする舞台公演が3月25日、恵庭市民会館でありました。小学3年から高校3年生30人で構成する「絆花(はんか)」による北海道歴史舞台。沖縄の伝統芸能「組踊(くみおどり)」を現代風にアレンジし、生演奏に合わせて歌と踊りで地域の偉人物語を紡ぎました。2012年から続く公演でコロナ禍による中止をはさみ10回目です。
主催は恵庭市を拠点に子どもたちの成長を支える「一般社団法人未来工房」。山口龍二代表(やまぐち食品社長)は「寒地稲作に初成功しただけでなく、種もみと技術を全道に無償で広めた久蔵翁の偉業から、あきらめずに進む姿勢を学んでほしい。子どもたちが演出、振り付け、衣装を自分で考え結果にも責任を持って作った舞台。上手くいっても天狗にならず、失敗してもくさらずやってきた。夢を追うだけでなく現実社会に通用するメンタリティも鍛えられれば」と熱く語ってくれました。
苦難に立ち向かう中山夫妻と仲間の姿も
単に偉業をたたえるだけでなく、久蔵翁の人物像や妻、仲間との関係も描き出す内容。開拓判官の松本十郎と、現代から明治の世に迷い込む2人の少女が観客を物語へと誘います。美談だけではなく、挑戦を鼻で笑われたことやイナゴによる農業被害、寒冷克服をあきらめかけたこと、労苦をともにした村民の離反なども描きました。
それでも妻と手を携え合い、かけがえのない仲間と天の恵みに支えられていることや自然に抗わず受け入れる姿勢、幸せは分けてこそ膨らむことをを、アイヌの人々との交流を通じて認識します。
自然界の神(カムイ)が手にする稲は、北広島市水稲赤毛種保存会から提供を受けた苗を、未来工房メンバー島田龍哉さんの農園で育てた「赤毛」です。田植えと稲刈りは子どもたちが行いました。
ステージで躍動する子どもたちを脇で支えたプロのバンドやギタリスト、歌手、恵庭岳太鼓保存会、千歳アイヌ文化伝承保存会は大きな存在でした。中山久蔵を演じた山口和真さん(札幌東高1年)は「皆さんに支えられてできた公演。感謝で胸がいっぱい。まだ終わりたくない。歴史に光を当て、この地の未来を創っていく気持ちで生きていこうと思う」と力強く語っていました。
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