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星槎道都大准教授で道介護支援専門員協会会長の大島康雄氏

ケアマネ協会長が語る 介護保険とケアマネの仕事、良し悪しの見分け  北広島市と星槎道都大が連携し公開講座

2022/11/19 18:23
教育・福祉 くらし

北広島市と星槎道都大学は1118日、市芸術文化ホール(花ホール)で介護保険と介護支援専門員(ケアマネジャー)の仕事、良し悪しの見分けをテーマに特別公開講座を開きました。同大社会福祉学部准教授で北海道介護支援専門員協会会長(現役ケアマネです)を務める大島康雄氏の講義を、来場した約40人が熱心に聞きました。

星槎道都大学の飯浜浩幸学長

 主催者代表で登壇した星槎道都大学の飯浜浩幸学長は「北広島市と包括連携協定を結んで10年。さまざまな事業を進めてきたが、初めて念願の花ホールでの公開講座を実現できた。本学の教育研究活動の成果を発表しともに学ぶ場としたい」とあいさつしました。

 

日本の高齢化

 日本の高齢化について大島氏は「人口に占める65歳以上の割合が29.1%でもはや超高齢社会」と規定します。年齢別人口グラフを1980年から2000年、2020年へと流れるように示し、さらに2060年へと。「40%への上昇も見え隠れ。医療・介護保険を使う人口と支える人口のバランスが崩れ深刻」と指摘しました。高齢化の要因として、医学・医療の進歩と少子化を挙げます。

 

介護の社会化

 高齢化率の高まりに伴い、介護を必要とする人と介護をする人について、社会的に考え体制を整えることが重要です。大島氏は「介護を社会化し、する人も・される人も自己実現できるように。保険制度も変えなくてはだめ。キーマンになるのがケアマネジャー」と話しています。

 

ケアマネジャーの仕事

 「ケアマネは相談職で、プレーヤーとは異なる」と大島氏。プレーヤーとは利用者へのサービスを直接に施す担当者を指します。ケアマネは文字通り、利用者とサービス担当者・家族・かかりつけ医師などとの関係を(自分も含めて)全体的にマネジメント(またはコーディネート)する仕事です。

 実際に手を動かすよりも医療・食事・運動・衛生(生活と精神)の全般について「大丈夫?できてる?」を本人と家族から聞き、観察できなければなりません。

 

医療と連携する地域包括支援センター

 大島氏は「医療(学)との連携は重要」と話します。医療は診察・治療・処方で「治す」がゴールですが、ケアマネとして考えるべきことは「自立・その人らしい生活」「周囲の人や物との関係・環境」「情報・心」で、この中に治った病気が再発する要因が潜んでいることもあります。

 「学問の分野が違うからこそ、連携する必要があるし双方のクオリティが向上する。意義・メリットは大きい」と強調します。その役割を果たすものとして地域包括支援センターや地域ケア会議を挙げ「北広島市には東西南北4地包センターがあり進んでいる」と評価しています。そして「連携できるケアマネが求められている」ときっぱり。

 

ケアマネの良し悪し

 要介護者と家族がケアマネを見るとき、またはケアマネ自身が顧みるときの基準として、大島氏は①説明が上手か(下手・少ないはダメ)②きちんと話を聞いてくれるか(反論するのはダメ)③自分のことを分かってくれるか(価値観を押し付けるのはダメ)④色々調べてアドバイスしてくれるか(新しいことを知らないのはダメ。知っていても押しつけはダメ)を挙げました。

 要介護者と家族が、ケアマネとうまく付き合うポイントは①人任せにせず情報収集する②困ったことを素直に相談する(市役所)③メールやLINEなども活用する(ケアマネ1人で大勢を担当しているため)④相手を大事にするとむこうも大事にしてくれる――という大島氏の講義を聞いた市民、介護職員、保健師など約40人は熱心にメモを取っていました。